- OnWaのひと
音大生のリアル〜楽典必勝法〜
最終更新: 2020年12月13日

受験前にめんどくさいのが楽典の勉強。実技の練習で手一杯だよと後回しにしてしまいがちな科目ですよね。
過去問を解くとふとしたポイントで不安になったり、いちいち指で半音の数を数えたりしていたら時間がなくなった…なんてこともあると思います。
音楽は数学です。公式さえ覚えてしまえば当てはめるだけ!
小学生でもわかる!小学生の頃からこの覚え方をしてきた。
暗記が得意な私の楽典の覚え方を今回はお話ししようと思います。
短期でがっつりマスターしてしまいたい人向けです。
実際みんな楽典てどう勉強してるの?謎、、、。
受験生にかかわらず、楽典=音楽をやっている人は知ってて当然、人から教えてもらうものではなく日々の練習をしているうちに勝手に覚えるみたいなイメージ。
だからネットで調べても表が乗ってるだけだったり、説明ばかりなんですよね。
英語とか歴史みたいな一般科目だったら文法の覚え方、こんな語呂合わせで覚えましょうみたいなヒントが転がってるのに楽典にはない。
表ごとまるまる覚えるなんてめんどくさいし、一個覚えて応用すればすむならそのほうがいいですよね。
中学生とか、高校生になってから学ぶんだったらこの方法が圧倒的に効率がいいと思います。
全て同じような並び(ルール)になるように暗記法を書いてます。
一個一個覚えるのではなく口ずさめるようにしてあります。
呪文と呪文の並び方のルールを覚えるイメージです。
(この時点ではわからないでしょうからとりあえず読んでいってください)
ではどうぞ↓
音程
ステップ①
長短系 完全系の二つがある
私もなんでそうなるのか説明できない。
もうこういうもんなんだと覚えておけば良い。
ステップ②
とりあえず完全系だけ覚えたらOK
1度 4度 5度 8度
語呂合わせで い し ご はん!残りのは長何度! 連呼しておきましょう。
(残りのは長短系 2度 3度 6度 7度)
ステップ③
完全系に長短は存在しない
ステップ④
とりあえずわからないときはC–durで考える。
ド–ド 完全1度
ド–レ 長2度
ド–ミ 長3度
ド–ファ 完全4度
ド–ソ 完全5度
ド–ラ 長6度
ド–シ 長7度
ド–ド 完全8度
ステップ④
重減➖減➖完全➖増➖重増
重減➖減➖短➖長➖増➖重増
半音狭まると左へ 半音広がると右へ
例1
C-durのド–ミ (長3度)
・短3度にしたい
半音一個分狭める。4パターン考えられる
⑴ドに#をつける
⑵ミに♭をつける
⑶ドに## をつけて ミに# をつける
⑷ミに♭♭をつけて ドに# をつける
・減3度にしたい
半音2個分狭める(完全1度狭める) 3パターン考えられる。
⑴ドに## をつける
⑵ミに♭♭ をつける
⑶ドに# をつけ ミに♭をつける
・重減3度にしたい
半音を3個分狭める(完全1度+半音狭める)2パターン考えられる
⑴ドに ## をつける ミに♭をつける
⑵ミに♭♭ をつける ドに# をつける
・増3度にしたい
半音分広げる 4パターン考えらる
⑴ドに♭をつける
⑵ミに# をつける
⑶ドに♭♭をつける ミに♭をつける
⑷ミに## をつける ドに#をつける
・重増3度にしたい
半音2個分広げる (完全一度広げる) 3パターン考えられる。
⑴ドに♭♭をつける
⑵ミに# # をつける
⑶ドに♭をつけ ミに# をつける
例2
B–dur ♭シ–ファ(完全5度)
・減5度にしたい
半音一個分狭める。4パターン考えられる
⑴シの♭→♮
⑵ファに♭をつける
⑶シの♭→♭♭ ファに♭♭をつける
⑷シの♭→# ファに#をつける
・重減5度にしたい
半音2個分狭める(完全1度狭める) 3パターン考えられる。
⑴シの♭→#
⑵ファに♭♭をつける
⑶シの♭→♮ ファに♭をつける
・増5度にしたい
半音分広げる 3パターン考えらる
⑴シの♭→♭♭
⑵ファに# をつける
⑶ファに## をつける シの♭→♮
・重増5度にしたい
半音2個分広げる (完全一度広げる) 2パターン考えられる
⑴ファに## をつける
⑵シの♭→♭♭ ファに# をつける
*半音の数によって決まってくることがわかる
ステップ⑤
判定の仕方
⑴まず#•♭に関わらず(外す)音の幅を確認 (3度かな 4度かな?)
⑵完全系か判定する
⑶#•♭の数を確認。
問題を解くときに調号の#•♭を落としやすい。よく落とす人は楽譜に書き込む!
⑷半音の数を確認
この段階を踏めば間違えることはない。
*1オクターブ以上の場合
例 ド–高いミ
1オクターブと長3度 もしくは 長10度と答えます。
完全8度+長3度
間違いで多いのが8+3としてしまい長11度としてしまうことです。
(高いドを2回カウントしてしまっている。)
そういう考え方で覚えるなら、
8➕◯➖1と覚えるようにしましょう。
和音の種類 三和音
覚えるのは下の四つだけ↓
・長三和音
・短三和音
・増三和音
・減三和音
ちょうたんぞうげん!
繰り返しましょう。
(次の項目の七の和音でもこの並びで覚えるよ)
*和音の構造
・長三和音
長3度の上に短3度が乗っています。
・短三和音
短3度に長3度が乗っています。
・増三和音
長3度の上に長3度が乗っています。
・減三和音
短3上に短3度が乗っています。
ちょうたん、たんちょう、ちょうちょう、たんたん!
と口ずさむ。
もうこれで三和音は頭使わずに解決。
和音の種類 七の和音
三和音に3度上の音を乗せるだけ!
・属七の和音
・長七の和音
・短七の和音
・減七の和音
・減五短七の和音
(*増七の和音もあるけど試験ではでない)
*和音の構造
・属七の和音
長三和音+短3度
・長七の和音
長三和音+長3度
・短七の和音
短三和音+短3度
・減七の和音
減三和音+短3度
・減五短七の和音
減三和音+長3度
この並びで覚えてください。
⭐︎楽典の中でも和音の問題は一番嫌われてそう。
特に↓
五線譜に和音が書いてあって
『次の和音が含まれる調を全て答えなさい。(短調は和声的短音階のみとする)』
これ大嫌いでした!!!
これも解き方さえ覚えてしまえば楽なんですけどね。それに慣れるまでは大変でした。
⑴和音を分析する。(基本形に直す)
何の和音か確認します。長三和音、属7の和音などなど
⑵全ての調に当てはめてみる。
ここで長調、短調の●度の和音が●の和音と覚えておくと楽です!

ここで三和音までは楽々できるんですけど、七の和音となると時間取られるんですよね。
(楽典を解く上でここに時間を割きたくない。調判定の方に時間をかけたい)
なので七の和音だけは暗記しちゃいましょう!
まずこの順番で記憶します。
属七の和音→長七の和音→短七の和音→減七の和音→減五短七の和音
その次に語呂で覚えちゃいましょう!
長調
ご、いし、にみむ、✖︎、 な!
短調
ご、む、し、な、に!
たくさん発音して覚えましょう。
文字に起こすと頭悪そう。。。と思うかもしれません。
でもこれ覚えておくと解くのが早くなるし、正確性もUPします!
最初のうちは心配で五線譜の隅っこにメモで和音たくさん書いていたけど、それも無くなりました。
調判定
これ一番苦手でした。
伴奏付きの問題だと和音で判定できるんですけど、単旋律だと間違えること多かった。
気をつけるポイント↓
⑴ とりあえず臨時記号を全部丸で囲みましょう。
⑵臨時記号がついた音の次の音にも臨時記号がついているか確認しましょう。
⑶非和声音による臨時記号ではないか疑いましょう。
⑷上行している旋律に#•♮がついていたのに、下行の旋律では♮•♭がついていたら単調かもしれないと疑いましょう。
⑸伴奏がついていれば、和音で判断するのが早いです。始めと終止の和音を見ればおk
これはもう 数こなして慣れるしかない。
楽語
覚え方とかないです。そのまま覚えてください。
選択問題や意味を書くだけで、原語で用語を書かされることはほとんどないので、読めるようにして、意味と用語を口で言えるぐらいにしておければ大丈夫です。
一生使うものだから覚えて損はないです。
むしろ知っていないと演奏できないですよね?大事なことなのでしっかり覚えましょう。
*おまけ
余裕がある場合は原語の意味を理解して覚えるとよいと思います。
例えばuna corda
ソフトペダルを使用する際に使われる楽語ですが、直訳すると
「1弦で」という意味になります。
現在はソフトペダルを踏むと3弦中2弦を打ちますが、この言葉が使われ始めた頃のピアノは1弦だけ打っていたのでこの名称になったそうです。
una corda を外す役割の tre corde は「3弦で」という意味です。
また語尾が変わるので注意 corda→corde
(イタリア語では単数形の語尾がaの場合、複数形ではeに変化するからです)
近親関係にある調
4種類だけなのでサクッと覚えてしまいましょう。
・平行調
主調と同じ調号持つ調 主調と短3度の関係を持つ。
(C–durが主調の場合:a-moll)
・同主調
主調と同じ主音を持つ調
(C–durが主調の場合:c-moll)
・属調
主調の属音(主音の完全5度上の音・Ⅴの音)を主音とする調
(C–durが主調の場合:G–dur)
・下属調
主調の下属音(主音の完全5度下の音・Ⅳの音)を主音とする調
(C–durが主調の場合:F–dur)
非和声音 倚音と逸音の見分け方
非和声音は7種類ありますがこの二つって分かりづらいですよね。
ちなみに非和声音はこちら↓
①経過音
②刺繍音
③逸音
④先取音
⑤掛留音
⑥倚音
⑦保続音
片方の性格を覚えておけば怖くない!
・倚音
強拍部に現れる。2度上行、もしくは2度下行して解決する。
(逸音は2つの和音の間に生じるが、倚音は1つの和音内で行われる)
・逸音
弱拍部に現れる。
和声音から順次進行で和声外音に行き、跳躍進行によって次の和声音に入る。
教会旋法
一部の音大の楽典で問われることがあります。
今使われている長調・短調が確立する前に使われていた理論でグレゴリオ聖歌で用いられた旋法です。
教会旋法=イドフリミエ!ヒポは5度上と覚えればおk
・イオニア
・ドリア
・フリギア
・リディア
・ミクソリディア
・エオリア
の頭文字を取っただけです。
旋法のフィナリス( 長調・短調でいう主音)がドレミファソラシドの順番になっています。
「ヒポ」が名前の前についたらその旋法のフィナリスの5度上の音がフィナリスになると覚えておけば大丈夫!
*これはあくまで覚え方です。そもそも教会旋法って何?って方はまずググってください。
まとめ
私は楽典の問題を解くのが結構好きで楽しんで過去問をやっていました。
大学ごとに問題の出し方、答え方が違うのでその点でミスすることもあったので、複数の大学を受ける場合はその学校ごとに慣れておくのをお勧めします。
移調、調判定、スコアリーディングは数こなして慣れるしかないです。頑張りましょう!
普段から黄色い楽典をやっているから過去問やらなくても大丈夫!というのだけはやめましょう。必ず一回は過去問に目を通しておくべきです。
大学ごとに必ず型があります。問題ごとに時間配分を考えておくといいでしょう。
私は調判定、ハ音譜表を読むのが苦手だったのでそこに時間をかけられるように他の問題を先にサクッと解くと決めて挑んでました。
焦ってしまうと臨時記号のつけ忘れが多いので気をつけましょうね!
参考になる本
おなじみの黄色い本です。
・音楽大学・入試問題集 2020 音楽之友社
2019年の各大学の過去問をまとめたものです。
・音楽大学・学校案内2020 音楽之友社
色々な音大の入試情報がまとめられ比較ができる本です。
黄色い本をさらに詳しくしたような内容です。読み物として読んでも面白いです。
過去問ですが、各大学のHPで10年分くらい公開されている(資料取り寄せの場合もあり)ので気になる大学があったらHPからダウンロードして解いてみましょう!